不動産を所有するオーナーが認知症になる前に知っておきたいこと。後見人制度とは家族信託とは
こんにちは。愛知県蟹江町にある一級建築事務所のレトロデザインです。
愛知三重岐阜などを中心に、賃貸アパートマンションなどの賃貸物件の収益を向上したい大家さんのための空室対策のご提案、そして入居者ファーストのリフォームリノベーション業を行っております。
さて、今回は認知症についてのお話です。
レトロデザインにもよく次のようなご相談にをお受けすることがあります。
「高齢の父(祖父母)が賃貸アパートを持っているのですが、自分はサラリーマンだったので、全くノータッチで過ごしてきました。親が認知症の傾向があり、不動産の現状を調べたところ、管理会社に任せっきりで全く何もしていない状態でした。私自身不動産経営のことは全くわからず、まず何からしたらいいのか、もう何年も空室の部屋もあるようで。」
という内容です。
不動産賃貸経営とはなかなか難しいもので、まずどうやって学ぶのか、ここから悩みますよね。今までノータッチで相続する予定の方はさらに頭を抱える問題だと思います。さらに認知症の傾向がある場合、どうしていいかわからない方もいいことでしょう。
レトロデザインでは、築15年〜40年の賃貸専門リフォームリノベーションを得意としているため、「オーナーである親が高齢になったため、相続税対策として急ぎでリフォーム、リノベーションをしたい」とよくご相談をお受けします。
認知症になった場合、一番恐ろしいのはデッドロックです。デッドロックとは、不動産オーナーが認知症などの発症により、自己判断できないと診断された場合、所有する財産を売却することも、貸すことも、リフォームすることも、壊すことも何もできなくなる場合があります。
相続税対策のリフォームの発注はもちろんできません。
不動産オーナーが認知症になってしまったら
日本は超高齢化社会に突入しています。今や認知症は大きな身近な問題となりつつあります。自分はまだまだ大丈夫と思っていても、いつ誰が認知を発症するかは分かりません。
もし認知症になった場合、本人の責任判断能力がなくなった場合、不動産の売却や活用が出来なくなってしまう恐れがあります。
不動産オーナーが認知症になると、その親族が代わって手続きなどを行うことが多いかと思いますが、実際には、その行為は法律的には無効です。
また、賃貸アパートマンションの管理を不動産会社、管理会社に任せっきりの場合、オーナー以外の家族が知らなかったトラブルも増えています。
賃貸経営において、高齢者の認知症だけが問題ではありません。働き盛りの40代でも関係ない話ではありません。
所有権とは
不動産には所有権があります。所有権には二つの権利があります。
一つ目は、管理する権利です。所有する不動産を売ったり、修繕したり、貸したりすることができる権利です
二つ目は、受益権です。受益権とは毎月の家賃や、不動産を売却した時のお金を得る権利のことです。
もし不動産の所有者が認知症になった場合、家族が不動産を代わりに売却できるのか?
もし不動産の所有者が認知症になった場合、配偶者や子供など親族がオーナーに代わって売却することはできるのでしょうか?
答えは「出来ません」
所有者が認知症になったとしても、不動産の売却や活用ができるのは所有権を持った人だけです。所有者の判断なしに勝手に売却することはできません。
たとえ親族であっても、勝手に売却することはできません。
このような場合、認知症を発症した前の事前対策として①成年後見人制度、②家族信託 という制度があります。
成年後見人制度とは
成年後見人とは、認知症や事故、精神障害など判断能力が低下してしまった人に代わり、家族や弁護士、司法書士などが本人に代わって財産管理や契約業務を行うことができるという制度です。
この制度は認知症を発症した人に代わって、親族や弁護士、司法書士などが本人に代わって、不動産や預貯金などの財産管理や契約業務を行うことができます。
本人の代わりになる人のことを、後見人(コウケンニン)と言います。判断能力が低下してしまった人を被後見人(ヒコウケンニン)と言います。
この後見人制度には2つの種類があり、本人が健康なうちから、将来自分に何かあった時のために、後見人を選んでおくことを任意後見制度と言います。
本人が委託を希望する前に、認知症を発症してしまい判断能力が低下してしまった場合は、家庭裁判所を通して法定後見人を立てることになります。
法定後見人を選ぶためには、配偶者や子供を含む親族が、家庭裁判所に法定後見人を選ぶ申し立てをすることになり、調査や審判、報告書の提出が必要になりますので、この時間に6か月程度かかること言われています。そのため、その期間不動産経営の管理が滞ることになるため、注意が必要です。
また、成年後見人には、親族以外の司法書士や弁護士を選定することも可能です。
後見人はオーナーの代わりに不動産を売却できるのか?
後見人制度は認知症を患ったオーナーに代わって不動産を売却することはできるのでしょうか?
答えは「できません」
後見人は、その人の不動産の売却をすることはできません
後見人は、その人の代理となり、財産の管理業務を委託することになります。
財産を売却したり、運用したり、相続税対策としてリフォームを行う、大規模修繕を行うということはできません。
そのため、ゆくゆくは売却などを考えている、相続税対策にリフォームリノベーションをしたいと考えている場合には、建物の名義などに関しても認知症を発症する場合にどのように取り扱うのかを決めておく必要があるでしょう。
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注目されている家族信託とは
これまでは認知症や相続税対策は主に後見人制度が活用されてきました。後見人制度は、最低限の管理などはできますが、資産を売却することはできません。この問題を解決してくれるのが新たに注目されているのが家族信託です。
家族信託とは、財産の管理する業務だけを、信頼できる家族に託す契約を言います。
後見人制度ではできなかった、財産の管理や処分を行うことができませんでした。一方で、家族信託では、財産の売却や処分、老朽化したアパートの建て替えを行うことが可能になります。
家族信託ではオーナー本人が認知症になっても、信託を受けた家族が自分の判断で財産の管理や処分をすることができます。そのため、家賃の集金やリフォームの決定、管理会社との契約を結ぶことができます。
しかしながら、家族信託には、家族との信頼関係が大前提です。後々親族間のトラブルになってしまわないように、事前に物件の管理方法を決めておくようにしましょう。
また、財産の管理は家族に託すことができますが、財産の所有権は本人のままですので、仮に売却した場合、お金は本人が得ることになります。
家族信託は、管理する権利だけになりますので、贈与税などは発生しません。しかし、家族信託を使わず、生前贈与という形をとった場合には、所有権が移るため、贈与税や不動産所得税、税理士報酬などが発生します。
家族信託で発生する税金には様々あります。
家族信託は、効果としては節税対策にはなりませんが、不動産のリフォームや修繕の決定など、結果として相続税対策、節税対策になる可能性があります。
入居者が認知症になった場合
また認知症はオーナーだけの問題ではありません。賃貸物件のオーナー側としても、入居者が認知症になった場合のリスクと対策についても考えておく必要があります。
認知症を発症した場合、家賃滞納の問題や、他の入居者とのトラブル、火元の管理など、大きなリスクが伴います。
ちなみに、認知症を発症した入居者を法律的に契約解除できたとしても、実際に退去させることは非常に難しいでしょう。もし裁判を起こしたとしても、行くあてのない認知症の入居者を退去させる執行官はいないでしょう。
こういったトラブルを防ぐためにも、連帯保証人や連絡先となっている親族と連絡がつくようにしておく必要があります。
まとめ
家族信託や成年後見人などの制度は、認知症を発症する前にしか適用することができません。長年賃貸経営を行い、資産を築いたとしてもそれを誰かに継続させること自体が非常に難しくなってしまいます。
そのため、委託する家族の判断能力も含めたうえで、誰に委託するのか総合的な判断を行う必要があります。特に現状で非常に多くの賃貸物件運営をしている方は、自分に責任能力がなくなったパターンを常に想定しておきましょう。
・誰に経営を任せるのか
・成年後見人を誰にするのか
家族信託しても、お元気で過ごされ、家族信託にかかった費用が無駄になるかもしれません。しかし、認知症になってしまった場合は何も決めることができません。認知症に関しては、高齢者が発症しやすいと言われていますが、実際にどんな年齢でもリスクがゼロではありません。
判断能力や責任能力は、その人が正常な能力を持っていることを前提としています。つまり、認知症を発症してしまった場合は、一時的に会話が成り立つなどの傾向が見られたとしても、対策を行うことができなくなってしまいます。
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