高齢オーナーは認知症になる前に相続対策。大切な不動産資産を守る方法
認知症は、高齢者ではなくとも発症する可能性があります。そして、認知症になってしまった場合、意思能力がないと判断されます。
「わかってはいるものの、相続税対策はなんとなく後回しにしがちで」という方も多いですよね。
レトロデザインは、築15年~40年の賃貸専門リフォームリノベーションを得意としているため、「相続税対策で、急ぎでリノベーションをしたい」と、オーナー様のご家族様からお問合せ頂くこともしばしばございます。
認知症を発症してしまった場合、賃貸経営にはどのような影響があるのでしょうか。
結論からいえば、認知症となってしまった場合、ほぼ契約や管理といった行為は不可能です。
賃貸経営において認知症になる前にどのような対策が必要なのか見ていきましょう。
1.認知症になると賃貸経営にはどう影響するのか
認知症になった場合、あらゆる責任能力がないと一般的には考えられ、「判断・認識能力がない」と判断されます。
また、オーナーの意志が確認できない場合には、管理会社との契約/入居者との契約/相続の承認・放棄、なども不可能です。
さらには、賃貸物件のリフォームの発注や、不動産の売買契約までもできなくなります。
賃貸経営を行うオーナー様は、認知症になる可能性も考慮して、早いうちから相続税対策が必要になります。
認知症に対策として、近年利用が拡大しているのが、家族信託による相続税対策です。家族信託は、資産管理を任せることができることに加えて役割を分けることも可能です。
2.成年後見人と家族信託
成年後見人
これまで認知症対策や相続税対策には、成年後見人が活用されてきました。
成年後見人は、認知症の本人に代わって、不動産や預貯金などの財産を管理し、本人の財産を不当な契約から守る制度です。任意で後見人を選定することによって認知症を発症しても問題なく、オーナーの代わりとなる業務を行うことが可能です。
ちなみに、本人が委託を希望する前に認知症を発症してしまった場合は、家庭裁判所を通した法定後見人が必要となります。この時間に、半年以上かかることもあるため、その点には注意が必要です。
この後見人制度は、最低限の管理などはできますが、資産を売却することはできません。この問題を解決してくれるのが家族信託です。
家族信託
家族信託は自分の家族に対して、業務を委託するものであり、財産の管理や売却、移転などの資産運用についても自由に行うことが可能です。
家族信託であれば、
・老朽化したアパートを建て替えることや売却する
・どの資産を誰に分割するのかを決められる
・多く保有してる不動産を自分の血族に残す
といった方法が可能です。加えて、家族信託や後見人制度は司法書士などに話をすることによってスムーズに手続きを進めることが可能でしょう。
家族信託や成年後見人などの制度は、認知症を発症する前にしか適用することができません。認知症を先に発症してしまうと、長年賃貸経営を行い、資産を築いたとしてもそれを誰かに継続させること自体が非常に難しくなってしまいます。
そのため、委託する家族の判断能力も含めたうえで総合的な選択を行っていく必要があります。特に現状で非常に多くの賃貸物件運用している方などは、自分に責任能力がなくなったパターンを常に想定しておきましょう。
3.認知症には事前対策が必要
基本的には、認知症は
・後見人が管理する必要がある
・家族信託を事前に行っておく
など対策しておく必要があります。
後見人や委託先が見つからないまま、経営を続けることは違法です。認知症に関しては、高齢者が発症しやすいと考えられるものの、実際にはどのような年齢であっても発症するリスクはゼロではありません。
そのため、賃貸経営を行う場合には、
・常に経営そのものを誰に任せるのか
・成年後見人を誰にするのか
を事前に決めておく必要があるといえるでしょう。加えて、認知症のまま賃貸経営を行うことは不可能であるだけでなく、相続対策も難しくなります。
対策を行わないまま、認知症となった場合には所有していた不動産及び相続の対策もできなくなってしまう点にも注意が必要です。
家族に最も負担となるケースでは、相続対策や家族信託をしないまま認知症を発症し、誰にも真実を伝えないまま、賃貸物件が放置されることです。仮に、そこが満室だった場合には多くの人々に迷惑をかける可能性が非常に高いといえます。
認知症は誰もが発症する可能性を秘めているものです。そして、契約行為や監理などは、責任能力に基づいて行われるものです。そのため、認知症を発症する前に対策を行っておくことによって、あらゆる-を回避することが可能です。
認知症に関しては医師の診断が必要となることもあるものの、事前対策を行っておきましょう。不動産を判断能力がある人間に継承し、収益を上げることや節税対策を行っていくことが重要です。