セーフティネット住宅の改修工事の経済的支援を理解し、空室対策
前回は、空室が続いている部屋への空室対策として、 「セーフティネット住宅」の概要と大家さんのメリットについてご紹介しました。
合わせてお読みください
この記事では、「セーフティネット住宅の改修費への経済的な支援」についてご紹介します。
セーフティネット住宅(住宅確保要配慮者専用住宅)として登録された住宅は、以下のような支援を受けることができます。
1.制度Ⅰ 改修工事の費用補助
2.制度Ⅱ 改修工事費の融資
3.制度Ⅲ 家賃低兼化の補助
4.制度Ⅳ 家賃債務保証料の補助
メリット①基準を満たしていなくても補助金の申請ができる
大家さんにとって、この制度の良い点は、制度の登録に条件が満たしていない物件でも基準を満たすために改修工事を行う計画であれば、登録することができるというところです。まずは専用住宅に登録し、その後補助金の申請や工事を行い、補助金受領という流れになります。
メリット②住戸単位で登録が可能
また、この制度のもう一つの良い点は、登録する住宅は、住戸単位での登録が可能というところです。例えば、10戸ある場合、その中で空室の続く1戸だけをセーフティネット住宅として登録し、ほかの9戸に関しては、今まで通りの入居者に合わせた経営を行うことも可能なのです。
空き家が続く部屋にとって、リフォームは空室対策に有効な方法です。リフォームを行うことによって、入居者が増え、家賃収入を得ることもできるでしょう。しかし、リフォームには資金が必要です。資金的な問題でリフォームをあきらめていた場合でも、この費用補助や融資の制度を利用することで、リフォームすることが可能です。
空室が続く部屋、リフォームが必要な部屋だけをセーフティネット住宅として登録し、助成金を使ってリフォームすることは、活用すべきメリットといえるでしょう。
まずは専用住宅に登録後に申請
手続きとしては、まず住宅確保要配慮者専用住宅(セーフティネット住宅)として各都道府県へ登録を行います。
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その後、改修工事費用の補助金申請を行います。
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交付決定通知後、事業着手(契約)
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工事終了後、遅延なく完了実績報告書を提出
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審査、補助金額の決定
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補助金の受領 という流れになります。
インスペクション※など調査設計計画を実施する場合には、調査設計計画費用と改修工事費用とを分けて交付申請を行います。インスペクション業務に関しては、レトロデザインでも承っておりますので、ご質問などございましたら、ご相談ください。
※インスペクションとは、調査、検査、視察、査察などを意味を持つ英単語。住宅業界では住宅の設計・施工に詳しい専門家が、住宅の劣化状況、欠陥の有無などを診断する「ホームインスペクション(住宅診断)」の重要性が指摘されています。国土交通省では、消費者が中古住宅の取引時点の物件の状態・品質を把握できるように、2012年に「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を策定。検査・調査を行う者の技術的能力の確保や検査・調査の項目・方法のあり方についてガイドラインを提示しています。
引用:ホームズ
注意事項
▶交付決定通知日以降かつ年度内に事業着手するものが補助の対象となります
▶交付決定より前に事業に着手したもの、および年度内に着手できなかったものは、補助の対象外となります
交付申請に関する要領や書類などは、スマートウェルエス住宅等推進事業室のホームページからダウンロードできます。
✅ 住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業事業者さん向けチラシ
では、どのような改修工事の費用の補助があるのでしょうか?
制度Ⅰ 改修工事の費用補助
住宅確保要配慮者専用の住宅の改修費用に対して補助には、国による直接補助と地方公共団体を通じた補助の2つがあります。
①共同居住用住宅に用途変更するための改修
②間取り変更
③耐震改修
④バリアフリー改修工事(外構部分のバリアフリー化を含む)
⑤防災・消火対策工事
⑥子育て世帯対応改修
⑦居住のために最低限必要と認められた工事
⑧居住支援協議会等が必要と認める改修工事(ヒートショック対策工事など)※上記工事に係る調査設計計画(インスペクションを含む)も補助対象です
国による直接補助率・補助限度額は、改修費用の1/3で、最大50万円/戸まで。
地方公共団体を通じた補助は、改修費用の2/3(国1/3+地方1/3)で、最大100万円/戸まで。
※補助の限度額は、国費で50万円/戸ですが、①~③の工事を実施する場合は、各々2倍の限度額になります。
この住宅セーフティネット助成金を活用すると、賃貸住宅の空き家をお持ちの大家さんは、一定の条件を満たすことで、住宅リフォーム工事費の1/3(最大100万円)、自治体によっては2/3(最大200万円)を助成されます。
例えば、リフォーム費用に150万円必要な場合、50万円の補助が受けられます。
自治体によっては、100万円の補助が受けられるので、150万円の工事が50万円で施工できることになります。
時代とともにニーズは変わってきます。ニーズに合ったリフォームを行うことは、物件の資産価値をあげることにもなります。
しかし、改修工事の費用は、すべて補助金でまかなえるわけではありません。
補助金で賄えない部分は、大家さん側の負担になりますので、費用の面や補助金対象の条件につきましては、ご相談ください。
その他主な要件として、『要配慮者専用住宅として管理期間が10年以上であること』です。
つまりどういうことかというと、セーフティネット住宅として登録したあと、最低10年は管理してくださいということです。
参考:セーフティネット住宅改修事業について(住宅局安心居住推進課)47ページ
制度Ⅱ 改修工事費の融資
先述の通り、改修工事の費用は限度額は決められています。すべて補助金で賄えるわけではありません。
リフォームやリノベーションを検討してたが、予算的な面で迷われていた場合、住宅セーフティネットの賃貸住宅リフォーム融資として、(独)住宅金融支援機構(JHF)の融資を利用することができます。
賃貸住宅リフォーム融資は、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として、都道府県などに登録した登録住宅をリフォームする資金または、リフォームする資金を対象とするものです。
住宅確保要配慮者のためのリフォームでないといけないため、補助をうけるためのに条件があります。
資金の使途▶登録した登録住宅をリフォームする資金または、リフォームする資金
融資額の上限▶融資の対象となる工事費の80%(10万円単位)が限度
返済期間▶20年以内(1年単位)
融資金利▶全期間固定金利 詳しくはJHFホームページ(適用金利)をご確認ください
融資対象となるリフォーム工事▶制度Ⅰの改修費用補助の対象になるリフォーム工事
制度Ⅲ 家賃低兼化の補助
住宅確保要配慮者専用の住宅については、家賃の低兼化に係る費用に対して補助を補助を受けることができます。
登録した住宅に低兼化対象世帯※1が入居する場合に、国と地方が協力して補助※2を行うものです。
※1 月収15.8万円(収入分位25%)以下の世帯 生活保護などを受給している世帯を除く
※2 国1/2+地方1/2(国費限度額:2万円/戸・月)
制度Ⅳ 家賃債務保証料の補助
住宅確保要配慮者専用の住宅について、初回の家賃債務保証料の低兼化に係る費用に対して補助を受けることができます。
登録した住宅に低兼化対象世帯※1が入居する場合に、国と地方が協力して補助※2を行うものです。
※1 月収15.8万円(収入分位25%)以下の世帯 生活保護などを受給している世帯を除く
※2 国1/2+地方1/2(国費限度額:3万円/戸・月)
制度Ⅲ、制度Ⅳの補助については、地方公共団体により、実施の有無や補助の要件が異なりますので、各地方公共団体へご確認ください。
まとめ
住宅セーフティネット制度の経済的な支援についてご紹介しました。
国や地方自治体の補助金制度は、民間金融機関の融資とは異なるメリットがある一方、書類の手続きがわかりづらい、書類も審査も多い、内容がよくわからないという大家さんが多く、まだ活用されている方は少ない印象です。
しかし、現在の日本は、少子高齢化、若年層の収入減少など、住宅の確保の配慮が必要な人が増加しています。そこで、注目されているのが、空き家や空き部屋の有効活用です。
登録住宅が少ない今こそ、住宅セーフティネット制度について、しっかりと理解し、活用すべきではないでしょうか。
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