コラム 2020.05.25

住宅セーフティネット助成金を活用した、賃貸住宅リフォーム工事の助成制度について

住宅セーフティネット助成金を活用した、賃貸住宅リフォーム工事の助成制度について

賃貸アパートマンションの空室対策には、リフォームやリノベーションなど様々な方法がありますが、今回ご紹介するのは、「住宅セーフティネット助成金を活用した賃貸住宅リフォーム工事の助成制度」です。

 

「住宅セーフティネット」とは、空き家を活用し、住宅困窮者の住まいを確保するという制度ですが、空室問題で困っている大家さんも活用できる制度になっています。所有する空き部屋を自治体にセーフティネット住宅として登録すると、改修費や家賃補助を受けることができるのです。

 

古くて空室が続いているが、リフォーム費用を捻出できない大家さんにとって、活用できる制度と思います。

この記事では、「住宅セーフティネット制度」の概要と大家さんが利用した場合のメリットについてご紹介いたします。

 

【目次】
1.住宅セーフティネット制度とは?
2.住宅セーフティネットを活用した場合の大家さんのメリット
3.セーフティネット住宅(住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅)登録申請する前に確認すべきこと
4.まとめ

 

 

1.住宅セーフティネット制度とは?

平成29年10月からスタートした、住宅の確保にお困りの低額所得者、高齢者、障がい者、子育て世帯等、外国人等と、賃貸住宅の空き家・空き室をお持ちの大家さんをつなぐ制度です。

 

令和2年度事業は5月下旬より募集開始予定です。尚、予算に達し次第、応募は締め切られるため、制度を利用し、リフォームをしようとお考えの方は、お早めにご相談ください。

 

高齢化社会の背景から、今後、住宅の確保が難しくなる方は今後も増加していく見込みです。しかし、一方で民間の空き家・空き室は増加し、空き家問題も増えています。

 

そこで、それらを活用して住宅確保要配慮者(※1)の入居を拒まない賃貸住宅(セーフティネット住宅※2)として登録し、要配慮者の方々への供給を促進することが目的の制度です。

 

※1 住宅確保用配慮者
低額所得者(月収15万8千円以下)、被災者(発災後3年以内)、高齢者、障がい者、子育て世帯(高校生までの子供を養育する世帯)外国人、都道府県が賃貸住宅供給促進計画で定める者 など

※2 セーフティネット住宅
住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅として都道府県・政令市・中核市(都道府県等)に登録した住宅

 

次の3つの柱から成り立っています
①住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度(セーフティ住宅の登録)
②住宅確保要配慮者に対する居住支援(居住支援法人等による居住支援)
③登録住宅の経済的な支援(国による改修工事費の直接補助等)

 

 

(引用:セーフティネット制度情報提供システム

 

 

 

2.住宅セーフティネットを活用した場合の大家さんのメリット

住宅セーフティネット制度とは、住宅確保要配慮者と空室に困っている大家さんとをつなぐ制度です。
では、具体的に大家さんには、どんなメリットがあるのでしょうか?詳しくみていきましょう。

 

メリット①登録した住宅は、国が管理する専用WEBサイト(セーフティ住宅情報提供システム)に掲載され、広く周知できます

賃貸住宅の大家さん(所有者またはサブリース業者)は、セーフティネット住宅(住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅)として都道府県等にその住宅を登録することができます。登録された住宅の情報は、セーフティネット住宅情報提供システムなどを通して情報提供され、住宅確保要配慮者の方へ広く提供されます。

 

セーフティネット住宅情報システム https://www.safetynet-jutaku.jp/guest/index.php

 

セーフティネット情報提供システムは、住宅確保用配慮者のための検索サイトとなっており、ほかの一般的な賃貸物件検索サイトと完全に差別化されています。

そのため、セーフティネット住宅を借りたいとお部屋探しをしている人の目に止まりやすくなります。

 

一般的な賃貸物件検索サイトでは、掲載数も多く、築年数や家賃、駅からの距離でライバルも多いでしょう。多数の競合物件の中で画面越しに戦うよりも、住宅確保要配慮者にターゲットを絞ることで、成約率は高くなることでしょう。

 

セーフティネット情報提供システムに登録した住宅は、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として登録されます。また、入居を拒まない住宅確保要配慮者の範囲を限定して登録することも可能です。

 

専用住宅として登録すると、要配慮者の入居を拒むことはできませんが、その分補助金の制度を受けることもできます。

 

登録したからといって、全部屋が登録住宅になるわけではありません。ここがこの制度の良いところだと思います。長屋や集合住宅については、住戸単位での登録が可能になります。

そのため、所有する物件が10戸ある賃貸アパートマンションの場合、空室が続く部屋、かつリフォームをしたい部屋のみを登録し、その他の部屋は今まで通りの入居者に合わせた経営を行うことも可能です。

 

 

メリット②入居者受け入れにあたり、必要な改修を行う場合は、改修工事費の補助を受けることができます

セーフティネット住宅に登録された住宅への支援として、以下のような支援が受けることができます。

①改修工事の費用補助  国による直接補助/地方公共団体を通じた補助
②改修工事費の融資   登録住宅のリフォーム資金融資として(独)住宅金融支援機構(JHF)の融資
③家賃低兼化の補助   家賃の低兼化に係る費用に対して補助
④家賃債務保証料の補助 初回の家賃債務保証料の低兼化に係る費用に対して補助

制度を活用できる条件は3つです。

1. 定額所得者や被災者、高齢者、障がい者、住宅を探すことにお困りの方の入居を拒まない賃貸住宅として登録すること
2. 住戸の床面積が25㎡以上であること
3. 耐震性を有すること

です。

 

<耐震性を有すること>、この点でひっかかった大家さんも多いのでは。しかし、この制度の良い点は、登録に基準を満たしていない物件でも、基準をクリアするために改修・補修工事を行うのであれば、住宅の登録を行うことが可能になることです。セーフティネット住宅登録後に、この助成金を使って耐震改修を行うことになり、制度を活用できます。

 

 

住宅セーフティネット助成金を活用すると、賃貸住宅の空き家をお持ちの大家さんは、一定の条件を満たすことで、住宅リフォーム工事費の1/3(最大100万円)、自治体によっては2/3(最大200万円)を助成されます。

例えば、リフォーム費用に150万円必要な場合、50万円の補助が受けられます。
自治体によっては、100万円の補助が受けられるので、150万円の工事が50万円で施工できることになります。

 

 

このような改修工事は、空室対策に有効的です。古くて空室が続いているが、リフォーム費用を捻出できない大家さんによって、活用できる制度と思います。

詳しい工事に関する内容は、こちらでご紹介いたします

 

メリット③入居者とのマッチングや斡旋、相談などのサポートを受けることができます。

居住支援法人等などの団体や自治体のネットワークにより、入居者が確保しやすくなります。しかし、住宅用配慮者の入居に少し抵抗を感じる大家さんが多いのも事実。

登録物件に入居する住宅確保要配慮者については、入居前、入居後の相談や生活相談、見守りサービスなどの独自の自治体のサービスを利用することもでき、サポートを受けることができます。

 

①住宅相談など入居に係る情報提供・相談
住宅確保要配慮者の受け入れにあたり、不安なことや困ったことがあれば、地域の居住支援協議会に相談することができます。

②入居者への家賃債務保証
入居者への家賃債務保証入居者に連帯保証人がいない場合、家賃滞納などの金銭的な保証については、国土交通省の登録制度に登録された保証会社や居住支援法人のサービスを利用できる場合があります。

③生活保護受給者の住宅扶助費等の代理納付

生活保護受給者の住宅扶助費等の代理納付入居者が生活保護受給者で家賃の滞納のおそれがある場合等に、地方公共だ引退から生活保護受給者に支給される住宅扶助費などを直接大家さんなどに支払うことにする代理納付を申し出ることができます

 

家賃債務保証や住宅扶助費の代理納付など、補償に関するメリットもあります。生活保護受給者の入居については、家賃滞納といったリスクもありますが、事前に申請することで、自治体から住宅扶助費を直接貸主に対して振り込む「代理納付制度」を利用することができます。このような制度を利用することで、家賃滞納のリスクを回避することができます。

 

また、住宅確保要配慮者は、住宅確保が難しいことから、短期での退去の恐れが少なく、長期的に入居される傾向があります。そのため、長期的な経営を行うことができるでしょう。

 

セーフティネット住宅(住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅)登録申請する前に確認すべきこと

●登録申請について
登録申請方法については、以下のような流れになります

①セーフティネット住宅に登録申請する前に、まずは都道府県等の登録窓口まで事前確認

登録基準や登録申請の提出物等については、都道府県・市町村が策定する「都道府県・市町村賃貸住宅供給促進計画」において独自の基準が設けられている場合がありますので、まずは登録窓口で詳細を確認してください。


<名古屋市>住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅(セーフティネット住宅)の登録を予定する事業者向け登録制度のページはこちらから

【愛知県内の登録窓口】住宅の所在地により下表のとおりになります

住宅の所在地登録窓口連絡先

住宅の所在地 登録窓口 連絡先
名古屋市 名古屋市住宅都市局住宅部住宅企画課 052-972-2944
豊橋市 豊橋市建設部住宅課 0532-51-2604
岡崎市 岡崎市建築部住宅課 0564-23-6880
豊田市 豊田市都市整備部定住促進課 0565-34-6728
それ以外の市町村 愛知県建築局公共建築部住宅計画課 052-954-6568

 

②賃貸人のアカウント登録(ログインパスワードの取得)

申請は、事業者(賃貸人)ごとに登録が必要です。
事業者アカウント登録画面はこちらから、ログインパスワードを取得の上、ご登録ください。

 

③登録申請書の確認(電子申請)

事業者アカウントを取得後、事業者管理サイトログイン画面をご利用ください。

 

 

「セーフティネット住宅の登録基準はありますか?」

登録する賃貸住居の規模、構造、設備などについて一定の基準に適合する必要があります。

 

一般住宅
● 耐震性を有すること
● 住戸の床面積が25㎡以上※

国土交通省・大家さん向けハンドブック

共同居住型住宅(シェアハウス)
● 耐震性を有すること
● 専用居室が9㎡以上※
● 住宅全体の面積が15㎡×居住人数+10㎡以上※
● 台所、食事室、便所、浴室、洗面所等を適切に設けている
※登録基準については地方公共団体により異なりますので各登録窓口へお問合せください

まとめ

この記事では、「住宅セーフティネット制度」の概要と大家さんが利用した場合のメリットについてご紹介しました。

冒頭でもご紹介したように、住宅セーフティネット制度を利用することによって、大家さんには下記のようなメリットがあります。

メリット①登録した空き室、空き家が国土交通省が管理する専用ホームページで掲載され、広く周知できます。
メリット②居住支援法人等によって、入居者の確保がしやすくなります。
メリット③必要な改修を行う場合は、補助を受けることができます。

 

所有する賃貸アパートマンションの空室対策にお悩み大家さんも少なくないかと思います。

リフォームやリノベーションも費用がかかることです。

しかし、この「住宅セーフティネット制度」は、改修工事の経済的費用補助があるため、空室に悩む大家さんに活用してもらえる制度になっています。

新築や築浅など比較的入居が付きやすい物件はメリットがないかもしれませんが、築古物件や、なかなか借りてが見つからない物件をお持ちの場合は、有効的な手段だと思います。登録については一定の基準がありますが、登録住宅は経済的な支援を受けることができるので、長期的な経営を行う上で、検討してはいかがでしょうか?

 

 

 

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